8月19日の午後、長野県林業総合センターにて、ピースハウスで用いる工法の

要となっているダボの引き抜き試験を行いました。

ピースハウスでは、素人でも持ち運べる90角の小径木のみを使うのですが、

その小径木をジョイントするのが木製ダボなのです。

実際の組立てでは、このジョイントを繰り返して建物の主構造となる井桁部分を作ります。



使用したのは直径36ミリ、メープル製の丸ダボです。これを全乾状態にして

現場にてヒノキ材の36ミリ穴に打ち込みますが、この際に、湿気を吸って丸ダボが

直径36ミリから直径36.5ミリほどに膨張。穴は36ミリのままなので、当然ながら

そこに摩擦力が生じます。この試験体を30個作成。引抜き力の比較のために、

同じヒノキ材には五寸釘も打ち込まれています。

この丸ダボを試験用の特性の金型に入れて機械にセット。上部方向へと徐々に引き上げていきました。


その結果、釘が60〜80キロの引抜き力であったのに対して、丸ダボの引抜き力はなんと1トン強!!

その場にいた参加者全員が、表示されたデジタルカウンターの数値に驚きました。


30個の試験体に同様の試験を行う計画でしたので、試験場にはこのように30個が用意されていました。

ところが、ここで嬉しい誤算が!



なんと、金型に試験体を固定するために挿入していた6ミリの鉄棒が1トン以上の力に

耐えきれず曲がってしまい、その日の試験続行ができなくなってしまったのです。

中には予定より深くヒノキ材に打ち込んでいた丸ダボもあり、それなどは2トン以上の

引抜き力が確認できましたが、各体とも、確実に1トン以上の力はあるようです!



数値はすべてデータとして記録され、今後の成果発表で生かされるはずです。

この工法の設計を行った建築家・長谷川順持氏も(そしてスタッフも)、当NPO事務局長の私も、試験を実施

していただいた長野県林業総合センターのS技師も、これほどの引抜き力が確認できるとは

想定していなかったので、今更ながら、このプロジェクトの意義を強く感じるとともに、ダボ工法の

可能性の豊かさを再確認しました!

さあ、工法への信頼性が確認できたところで、9月から10月にかけて、いよいよ現場での組立てが

行われます。工程につきましては、間もなくご案内致しますので、ボランティアでのご参加を

ご希望の方は、ぜひお気軽にご参加をお願い致します。